昨日おとといあたりで急にトレンドワードに上がってきた「水中毒」という言葉。
皆さんご存知でしたか?
水中毒(みずちゅうどく、water intoxication)とは、過剰の水分摂取によって生じる中毒症状であり、具体的には低ナトリウム血症やけいれんを生じ、重症では死亡に至る。人間の腎臓が持つ最大の利尿速度は、毎分16mlであるため、これを超える速度で水分を摂取すると、体内の水分過剰で細胞が膨化し、希釈性低ナトリウム血症を引き起こす水中毒に陥る。
出典:Wikipedia
つまり水を飲み過ぎる事で体内のナトリウム濃度が下がってしまって色々と不調が出る、ということ。
原理は簡単で、体から出ていく汗や尿にはナトリウム等も含んでる。つまり水分と同時に塩分も失ってるんだけど、水を飲むと水分補給にはなるものの塩分は補給されないからどんどん体内のナトリウムが薄まってしまう、ということ。
だからいわゆるスポーツドリンクや経口補水液を摂取するのが良いという話。あとは塩キャンディなり普通に食事をすれば塩分摂取も出来るから、僕としてはそこまで気にしなくても良い話だとは思うけども…。
水中毒になると――?
- 軽度…虚脱感や疲労感
- 中度…頭痛や悪心(吐き気)、精神症状(性格の変化等)
- 重度…痙攣、昏睡
ただ、虚脱感や疲労感は熱中症や水分不足でも現れるので、一概に「虚脱感、疲労感」=「水中毒」とは決めれない。とは言ってもいずれにせよ体のSOSサインではあるので、体を休める必要はあるとは思う。
どれだけ水を飲めば「水中毒」になるのか
先の引用文にあったように、腎臓の処理速度の上限である「16ml/分」を超える水分を摂取すると理論上ナトリウム濃度は下がっていく。つまり一時間に960ml以上摂取すると濃度が下がる計算になる。
とはいえこちらは理論値。実際には「1日に3リットル」がボーダーラインらしい。
ちょっとナトリウム濃度が下がったくらいで即座に悪影響が出るわけではないので、あくまで目安として。
水中毒は恐れるべきか
水中毒の症状を見るとどれも恐ろしいものばかり。しかし、そもそも水に限らずどんな物質であれ摂り過ぎは禁物である。
ちなみにカフェインはコーヒー3杯分の摂取で軽度の中毒症状が出る。どんなものでも摂取しすぎは毒であって、適量が一番。
それよりも怖いのは水中毒を恐れて水分不足になってしまうこと。こちらの方が怖い。
だって、水中毒になる基準って水を1日3リットル以上だよ…500mlペットボトル6本分。飲みますかね…?そんなに…。まぁ飲むにしろ塩分を摂取すれば血中ナトリウム濃度を極端に下げる事は無いはず。
実際、現状で外に出て働いたりスポーツをしている人たちで水中毒になった症例はほとんど聞かない(しかし幼児はややリスクが高い)。それよりも熱中症の方が怖い。
塩分も一緒に摂取すれば問題無い
要は血中ナトリウム濃度を落とさなければ良い話なので、汗などで失われた塩分を水分と共に補充してやれば問題無い。
水分補給と一緒に塩分補給も忘れずに。塩分補給が大事という意味では「水中毒」というワードが注目されたのは良い事なのかもしれない。塩分の補給はどうしても水分よりも軽視されがち。
ただし、必要以上に水中毒を恐れるあまり水分を摂らなくなるのはもっと怖いと思う。特に炎天下に居る事が多い人は水分と塩分に気を使ってほしい。
ちなみに市販のスポーツドリンクであっても実は体内のナトリウム濃度よりも低い事がある。いつもより疲れを感じたりする場合は経口補水液を試してみるのも良いかもしれない。
食欲が無い人は特に塩分が普段よりも不足しているはず。塩分を気にかけてみると日頃の気だるさが変わるかもしれない。
いつもよりも体調がすぐれないな、と思ったら休んだり病院へ行ったりするのをオススメします。ご自愛ください。
リスクは炎天下だけじゃなかった
そもそもなぜこの問題が挙がってきたかというと、実は炎天下で活動や仕事やスポーツをする人に向けてではないらしい。
「水を飲むことによるデトックス」の類での過度な水分摂取が一部で問題になっているみたいで。「新しい水」を体内に入れて「古い水」を追い出す…というのは理にかなってると思うんだけど、何事もほどほどに。
単純に「水=悪」になって水分が必要な人まで水分摂取を躊躇ってしまうのが一番怖い。バランスよく、適度に。